墓石店のチラシなどには、
’’お墓の金額には、文字彫刻代、基本施工代金を含みます’’
という事が書いてあることが多いです。
いわゆるコミコミ価格というイメージでよいかと思います。
文字彫刻は、彫刻技術などを除けば、彫る内容については大きく変わりはありません。
ただ、基本施工代金の、基本施工って、石材店によって大きく違うんです。
①お墓の部材同士には何を使って据え付けているか
耐震ボンド、免震パット、セメントノロ等と、これ以外にも材料は色々ありますが、現在ではセメントノロを使用している石材店は少ないと思います。ほとんど接着効果はありませんが、昔はそれくらいしかありませんでした。一方でボンドは接着効果が強く、厚みを持たせれば耐震効果も出ます。加えて免震パットを使用すると、免震効果も得られます。ボンドや免震パット等は一定額の費用が掛かります。
こういった物を基本据え付け費に含むのか、含まないのかによっても違いが出ます。
②基礎部分、納骨室(カロート)はどの様に施工しているか
基礎はお墓の施工後は全く確認できない部分なので、事前に確認する以外は確認方法がないと思います。
地面の締固めはしてあるのか、基礎コンクリートを打設しているのか、鉄筋は入っているのか、コンクリート硬化の為に日数をおいているか、鉄筋は所定の被り厚を持たせてあるか等々あります。
お墓の据え付け工事を一日で済ませる業者もあるとの事ですが、1トン前後の重量物であるお墓を、コンクリートが硬化していない状態で据え付け完了をするというのは不安があります。もちろん一日で工事が完了すれば、重機、車輛、燃料、人件費が一日分で済みますのでその分費用が抑えられますが、抑える部分はここではないと思います。。。
また、地下納骨室(カロート)についても、コンクリート製の一枚もののカロートを使用しているのか、ブロックを積み上げて作ってあるのかという違いがあります。
この様に、施工方法は様々あるので石材店によっても基本施工の中身は全く違います。この辺りをよく確認、他社との比較をした方が良いかと思います。
③基本的な立地条件をどのように想定しているか
お墓の据え付け場所によって、使用する車輛、運搬重機、必要人員等大きく変わってきます。例えば、一番簡単な据付条件は、墓地の横にクレーン車を横付け出来る立地だと思います。直接荷物の積み下ろしやお墓の据え付け等も出来るので時間が省略できる=工事費用が少なくて済むという事に繋がります。
一方山の中に施工する立地であれば、4tのクレーン車は大きすぎて入れない為使用できないので、カニクレーンを使用していく必要が出ますし、材料や部材を運搬するのに運搬重機を使用する必要が出ます。またショベルで重機が通れる道を作る必要が出る場合もあります。墓地までの往復や現場での段取りなど時間が余計にかかる=工事費用がかかるという事になります。
因みに当社では、基本施工代金には、4tクレーン車を横付けできる条件で施工代金を算出させて頂いております。そこから現場を確認して、実際のお見積りを出させて頂くようにさせて頂いております。
当社ではお墓の部材同士には、免震パット、耐震ボンドを使用しています。
ボンドについてもしっかりと厚みを持たせるようにつけて、耐震効果を出せるようにしています。
当社はカロートは鉄筋コンクリート製カロートを使用しています。
強度という面では、ブロックを積み上げて作るよりももちろん強いです。土圧もかかるわけですから、ブロックの場合だと崩れる恐れもあります。お墓じまいをする際に、一部が土圧で押し出されている物を見た事が数件あります。
また、当社はカロートの周囲に鉄筋コンクリートを打設しています。そうする事でお墓の一番下の部材である芝台との接地面を増やし、強度をあげていきます。
インターネットでもよく見るのですが、カロートの下に基礎コンクリートをした後、カロートを据付、その上に芝台を据えていくケースが多いようです。お墓の荷重を支えるという意味ではこれでも問題はないのですが、厚さ5-6cm巾のカロートの上にお墓が乗るというのは、芝台の接地面が少ない為、地震などの振動が起こった際に不安が残ります。芝台を少なくとも芝台よりも広い面で支えるという事を当社では行っています。
この様に、基本施工といっても色々な方法があります。
安くしようと思えば、後々の事を考えなければ色々な部分で削る事が出来ます。
ですが、削らないほうがいい所もあります。ここの考え方は石材店によって考え方が違います。
よくご理解を頂き、説明がなければ説明を求められることをお勧めします。